2014年5月19日月曜日

敷地権なし区分建物・・

その昔マンションなどがまだ少なかったころ、マンションは、土地と建物別々に登記されていました。普通の一戸建て住宅のように。建物はそれぞれの部屋(201号とか902号とか)ごとに登記されるので問題ないのですが、土地の登記は、そのマンション全員の共有の土地で登記される為、膨大な量の情報が登記簿に現れてきます。つまり201号に住んでいる住人がそのマンションの土地の登記簿を閲覧すると、ほぼ全部屋の住居人の情報が勝手に入手できてしまうわけです。自己持分のみの登記情報の取得はできませんから。そうなると、お隣さんや上の階の人の名前さえ知っていれば、だれそれさんは○○銀行でローンを組んでるとか、また、氏名が変わったとか、相続で誰が財産を引き継いだのか、とか・・。中には絶対これマズイだろうと思うのは、差押されたということまで分かってしまうことです。
もともと登記簿というのは誰でも(未成年でも、外国人でも)閲覧、取得できるものです。取得理由も法務局から聞かれません。このことを「公示」と言います。ですから、そういった意味で不動産についていえば個人情報はオープンにされています。しかし、だからといって意味もなく他人の不動産の情報を取得する人はそうはいません。取得にはお金もかかりますし。しかし敷地権がついていないマンションだと今言ったような事が起こってしまいます。見るつもりのなかった個人情報が、です。
われわれ司法書士は言わずもがな、厳しい守秘義務が課せれていますので、情報が漏れることは一切ないのですが、それでも、一般の方が容易に個人情報に触れられてしまうこの仕組みは、非常に危うさを感じてなりません。
ちなみに敷地権のついた区分建物(今のマンションはほとんどついてます)は、土地・建物一体となった区分所有(部屋)ごとの登記簿になっているから、このような問題は起こりません。