2014年8月27日水曜日

事業承継・・

6月27日のブログでもお話しした事業承継。
事業承継といっても何を承継するのでしょう。まずは『人』の承継。後継者を教育して、社長交代といったところでしょうか。次に『資産』の承継。株式、事業用資産(設備・不動産など)、資金といったところ。これらの承継に当たっては相続税対策が問題となるところです。で、ここまでやれば事業承継が完了と考えているオーナー様もきっとお見えになるかもしれません。
ところが現経営者が先代から事業を引き継いだ際、最も苦労したのは「経営力の発揮」「取引先との関係の維持」「一般従業員との関係の維持」など目に見えない経営資源の承継に苦労したとのアンケート結果があります(独立行政法人中小企業基盤整備機構より)。つまり『経営資源』の承継も必要要素です。具体的には、経営理念、社長の持つ信頼、営業秘密、職人の匠の技、得意先の人脈、顧客情報、許認可など・・これら財産は『目に見えにくい財産』のため意識から外れてしまいがちです。
面白いことに、やはり同じアンケート調査で、現経営者の『老舗企業の強みとは?』との問いには上位から、信用(73.8%)伝統(52.8%)知名度(50.4%)地域密着(43.1%)厚い信頼(37.5%)顧客の承継(33.2%)技術の承継(29.5%)となっています。それに比べて、物的資産は11.5%と13位でした。
また『生き残りのポイントは?』との問いの結果は上位から、信頼の維持、品質の向上、地域密着、伝統の承継、技術の承継、顧客の承継・・で、物的資産は12位でした。
この様な結果から見ても『目に見えにくい経営資源』が本来最も重要視されるべき事項との潜在的認識を持っているにもかかわらず、経営者さまは財産移転に発生する相続税対策にどうしても目が行きがちです。しかし事業承継における税金対策はそのほんの一部にしか過ぎないのです。
25日のブログでも話しましたが、『お金さえ残せば大丈夫』の気質の表れでしょうか。でもそれだけでは、全く企業に対しては当てはまらないのが事業承継です。奥の深い勉強分野です。