2014年9月24日水曜日

未成年後見・・

民法838条
後見は、次に掲げる場合に開始する。
一.未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
二.後見開始の審判があったとき。
未成年後見の本来の趣旨は『子の健全な育成』ですので、成年後見人と違って、単なる財産管理、身上監護だけがその使命ではありません。いわゆる『親の代わり』です。したがって、成年後見人は、被後見人死亡までその管理業務は継続されますが、未成年後見人は成人に達するまでです。
私は、条文に該当すれば、当然に未成年後見人の選任手続きに入るものと思っていました。ところが、この未成年後見人、子の親族が就任しその財産を食い物にするケースが後を絶えず、本来なら専門職(司法書士、弁護士など)が就任することが望ましいにもかかわらず、成年後見に比べあまり引き受け手がいないようです。なぜでしょう・・。
一つは、その責任の負担の大きさ。民法714条第2項の責任。不法行為の責任無能力者の代わりに監督義務者(未成年後見人)がその責任を負う規定です。やや思いきった言い方をすれば、自分の子でもない被後見人の事件のために、その損害賠償を払わさせられる、ということ。誰でも抵抗はあります。
二つ目は、被後見人の戸籍に後見人が記載されること。後見人の住所・氏名がです。専門家(特に業務の性格上敵の存在する弁護士)は躊躇します。
あと、これはあまりよろしくないかもしれませんが、報酬の問題。報酬は未成年被後見人の財産より拠出されます。期待値は低いです。専門家も時間も労力もかけ、責任も負い、その上無報酬となるとそれでは引き受け手はいなくなります。公金からの拠出等も今後の課題ではないでしょうか。
私個人的には、『何とかこの子供たちを不安なく成年に達するまでサポートしたい』、という気持ちはあっても(私のエゴかもしれませんが・・)、どうしてもなにか違う方法は無いのかと考えてしまいます。
ちなみに、児童福祉法(47条1項)で施設長がその親権を代行できるようになっています。実際、施設に暮らす多くの子供たちに未成年後見が付されていないのが現状です。しかし施設に入らず、親族に引き取られてその財産管理、身上監護がいきわたっていない子供も数多くいることでしょう。これらの子供たちの人権擁護の面も法整備が必要ではないでしょうか。女性の社会進出のための法整備もいいのですが・・。