2015年1月29日木曜日

生前の遺留分放棄・・

民法1043条(遺留分の放棄)
【相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる】
相続放棄は『申述』で足りるが、遺留分放棄は『許可』。なぜか。相続は、先祖代々の負債を子孫まで引き継ぐことを防止するためと言われているのに対して、遺留分は推定相続人に保障された最低限の権利であるから、という違い。
ではその『許可』の判断基準とは何か。
①自分の自由意思によるものか
②放棄する理由に合理性と必要性があるか
③対価はもらっているか
以上の判断材料のようです。

生前にまとまった財産を親から婿養子に嫁ぐ子へ贈与する契約をする代わりに、親亡きあとの遺産は婿養子さんには放棄させる、だから一筆書かせたいがどうか?との相談があった場合。その気持ちは分かります。しかし生前の相続放棄は出来ません。これは生前に推定相続人が被相続人から不当な圧迫を防ぐためと説明されています。したがって考えられる方法として、遺留分の放棄と遺言をセットで贈与契約。遺留分の知識は誰でも有るわけではないので、ここの説明が大変です。
じゃ、例えば婿養子さんが、離縁して戻って来た、財産も返した。遺留分の放棄の取り消しは出来るかという問題。ここは裁判所は出来るという解釈です。ただし無条件ではありません。『取り消さないと不合理であると認める相当な理由があれば』取消は認められます。上記のような事情がそろっていれば、認められると考えられます。
家庭内のもめ事を事前に防止することは、とても大事なことです。しかし充分に注意しないと、生きているうちからもめてしまうことにもなりかねません。当事者の意思や考えをよく聞き取りしないと、あとあと怖いです。